浅草の町を見続けて ~神谷バー(東京都台東区)~
2004年 11月 24日
今日は浅草にある老舗のバー、「神谷バー」を紹介します。神谷バーは明治45年の創業(その前身の「みかはや銘酒店」は明治13年創業)で、現在の建物は大正10年に建てられたものです。以前に紹介した「廿世紀浴場」と同じく、直線と曲線を組合せ、立体的に表現したデザインは、アール・デコの特徴を残しています。この建物は関東大震災や東京大空襲を耐え抜いてきたわけですが、浅草というと震災や空襲の際は恐らく、最も被害の激しかった地区ではないかと思います。特に空襲の際は、神谷バーの周辺は焼け野原になっていたに違いありません。そんななか、以前と変わらずに凛とそびえ立つこの建物はきっと当時の人々に希望を与えたでしょうね。日本史上、最も動乱の時代であった大正・昭和を経て、21世紀の現在も現役で利用されているこの建物ってなんかすごいですよね。歴史の重みを感じずにはいられません。
神谷バーでは「デンキブラン」というブランデーをベースにしたカクテルが創業以来の名物ですが、「デンキ」というのは、明治時代のいわゆる流行語みたいなもので、当時の目新しいものにつけられていたそうです。子供の頃はビリビリするお酒なのかなぁって不思議に思ってました(笑)
by hi-paddy
| 2004-11-24 23:46
| 建物探訪