【古寺探訪】 西光寺(達谷窟毘沙門堂) ~岩手県平泉町~
2005年 05月 17日
今日は岩手県平泉町にある西光寺(達谷窟[たっこくのいわや]毘沙門堂)の紹介。
平泉といえば奥州藤原氏の本拠地として中尊寺などの独特の仏教文化が栄えたことが注目されていますが、この西光寺はそれ以前の奥州の仏教文化を知る上で重要な寺院となっています。創建は9世紀で蝦夷征伐で有名な坂上田村麻呂が創建したと言われています。
ここの見所は何といっても毘沙門堂!崖にのめり込むように造られている毘沙門堂は野趣あふれる造りで非常に圧巻でした。でも、何でお堂が崖にのめり込んでいるのでしょうか?それはこの寺院の歴史を紐解けば分かります。
毘沙門堂がある窟は元々、蝦夷の長であった阿弖流為(アテルイ)の本拠地でしたが、坂上田村麻呂がこれを征伐。この戦いの勝利は毘沙門天のお陰だということで窟のあった場所に毘沙門堂を建立したそうなのです。だから、今でもお堂に入って右側を見ると岩肌がそのまま露出しています。
西光寺には毘沙門堂の他にも様々な見所があります。その一つが「岩面大佛」と呼ばれる麿崖仏。その昔は高さ16.5mもあった大像だったらしいのですが、明治時代に地震で胸から下が落っこちてしまって以来、風化が進んでます。面白いのがこの大仏の由来。説明板には次のように書かれていました。
「前九年後三年の役で亡くなった敵味方の諸霊を供養するために陸奥守源義家が馬上から弓弰を以って彫り付けた」
弓っすか!?
弓矢で大仏を彫るとは…さすが源氏の棟梁。いや天晴れです!!
そしてもう一つの見所がこの不動堂。中には県指定文化財の不動坐像があります。茅葺の雰囲気のあるお堂です。しかし、管理を怠っていたのか屋根には雑草が…ま、雰囲気があってよかったですけどね(笑)
この様に、西光寺は歴史ある寺院でありながら、京都や奈良の寺院とは一味違った雰囲気を味わうことが出来ます。山形県の山寺もそうでしたが、東北地方のお寺には独特の素朴さがありますね。中央とは違った仏教文化「奥州藤原文化」が花開く土壌が、古代より既にあったということがよく分かりました。そういう意味で平泉を訪れた際にはぜひ見て欲しい寺院でもあります。ただ、交通の便が悪く、バスも出ていません。レンタサイクルかレンタカーでどうぞ♪
西光寺周辺の地図はコチラ
by hi-paddy
| 2005-05-17 21:12
| 古寺探訪